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高町ヴィヴィオ (10歳) Style: ストライクアーツ Skill: カウンターヒッター Magic: ベルカ&ミッドハイブリッド Device: セイクリッド・ハート (Hybrid-Intelligent) IM(インターミドル)参加履歴:初参加 アインハルト・ストラトス (12歳) Style: 覇王流(カイザーアーツ) Skill: 断空(だんくう) Magic: 真正古代(エンシェント)ベルカ Device: ??? IM(インターミドル)参加履歴:初参加 コロナ・ティミル (10歳) Style: ゴーレム創生(クリエイト) Skill: ゴーレム操作(コントロール) Magic: ミッドチルダ Device: ブランゼル(Intelligent) IM(インターミドル)参加履歴:初参加 リオ・ウェズリー (10歳) Style: 春光拳(しゅんこうけん)+ストライクアーツ Skill: 炎雷変換(えんらいへんかん) Magic: 近代ベルカ Device: ソルフェージュ(Intelligent) IM(インターミドル)参加履歴:初参加 インターミドル参加者
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エリアサーチ 魔力で生成した「サーチャー」と呼ばれる消費型端末を複数飛ばす、中距離探索魔法。 サーチャーは術者に視覚情報を送信し、これによって術者はサーチャーの届く範囲すべてを視認捜索することができる。 変形・シューティングモード 魔力砲による砲撃を行うための形態。 この形態から放つ砲撃魔法「ディバインバスター」により、暴走する魔法の強制封印を行うことも可能。 ディバインバスター シューティングモードの状態で魔法陣展開、杖の周囲に生成される帯状魔法陣によって魔力の放出と収束をコントロールし、大威力の砲撃を放つ。 本来は攻撃用の魔法だが、今回は封印のために使用されている。
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「カズマ君、機動六課に入らん?」 はやてによる突然の提案から始まった混乱は、ようやく名前を手に入れた俺に新たな問題を降らせた。その問題とは、『今後』のことだった。 「私は何も考え無しに薦めたわけやないんよ?」 「そうなのか?」 考えがあったのか、逆に。 「今失礼なこと考えたやろ~」 何故この二人は俺の心が読めるんだ? 八神家とやらにはそんなスキルがあるのか? 「ま、ちゃんと説明するからよーく聞いてな?」 リリカル×ライダー 第三話『機動六課』 「カズマ君の立場は非常に危ういんや。ウチのエースオブエース、なのはちゃんを襲撃した時点で犯罪者として捕まる可能性があるし」 そこでいったん言葉を切って、はやてが顔を上げる。 「何よりカズマ君のデバイスが不味いんよ」 デバイス――と考えて頭に浮かぶ箱形の機器。中央に嵌め込まれた、黄金の三角形が浮かぶクリスタルが印象的だったアレだ。 「実はあれ、ウチらのデバイスとは違う特殊な物でな、上にバレると確実に接収されてしまうんよ」 「それのどこが不味いんだ?」 厄介払いが出来る、と考えていた俺としては不味い点が思い付かない。おそらくあれのせいで、なのはという女性を傷つける羽目になったのだから。 「いやな、アレってユーザー登録機能があって、登録した場合は登録された人しかシステムを起動出来んみたいなんよ」 登録者、か。この場合、実際使った俺がそれだという可能性が一番高いだろう。つまりは―― 「俺も一緒に連れていかれるってわけだ」 思わずキレそうになったのを堪える。顔か声に出ているかもしれないが。 「だから、機動六課に誘ったんよ」 はやてがこちらの顔を視界に収めながら言った。今までにない、真剣な表情で。 「何でそこに繋がるんだよ?」 「既成事実というやつや。機動六課に入ってしまえばこの前の事件は訓練中の事故として処理できる。デバイスについても誤魔化しが聞く。シャーリーが開発したと言えば上も納得するやろし、中身もでっち上げの説明が出来る。カズマ君の処分も決まるし……どや、完璧やろ?」 先程とは打って変わり、会心の出来とばかりにニンマリと笑みを浮かべたはやてを見て、睨むのを止めた。やはり苦手であることは間違いなさそうだ。 「勝手にしろっ」 どちらにしろ、自分にはどうしようも無さそうだ。ここは彼女に任せるしかない。 ただ彼女の勝ち誇った笑みに、思わず不貞腐れてしまったのが悔しい限りだ。 ・・・ その部屋には五人の人物がいた。一人は大きなベッドで横になっており、残りの四人はベッドの横に並んで立っている。 ここは高町なのはとフェイト・T・ハラオウンの部屋だ。ベッドに寝ているのは部屋の主であるなのはであり、横に並ぶのは先程なのはと共に訓練を行っていたフォワード陣である。 「なのはさん、すみません。はやて部隊長に言われて訓練後の書類作成とシミュレーターの事後処理を行っていたため、訪ねるのが遅くなりました」 「ティアナ、気にしないで。ちゃんとお仕事しただけなんだし」 ティアナと呼ばれた橙色のツインテールが特徴の少女を、なのはと呼ばれたベッドに横になった女性が優しくなだめる。 「なのはさん、大丈夫ですか? どこか痛いとか、その……」 「スバルは優しいね。大丈夫、わたしは隊長さんなんだから」 青髪ショートヘアの少女、スバルが心配そうに問いかけるのを、なのはが苦笑しながら止める。 彼女達の隣に立つ少年と少女も心配そうになのはを見ていた。 「エリオもキャロも見舞いに来てくれてありがとう」 「そ、そんな! 当たり前ですよ!」 「なのはさんが入院していた時も心配したんですから!」 エリオと呼ばれた少年と、キャロと呼ばれた少女が頬を紅潮させて叫ぶ。子ども故の、純粋な反応だ。二人は心の底からなのは心配しているのだろう。 なのはが目尻に涙を浮かべながら二人の頭を撫で、それに呼応してスバルまで泣き出す。それに呆れつつも彼女の背中を叩いてなだめるティアナ。 そこには上司と部下という垣根を取り払った暖かな関係が伺えた。 「そう言えばティアナ、習得したスターライトブレイカーはどうだった?」 なのはがティアナに語りかける。 この二人は考え方の違いから以前は上手くいっていなかった。だが、ある事件がきっかけに今のような信頼関係を築けたのだ。戦い方も似ていることから、現在では完全に師匠と弟子のような関係になっている。 「まだまだですよ。魔力収集と反動が全然制御出来なくて……」 ティアナは射撃型魔導師であり、砲撃型魔導師であるなのはとよく似ている。しかしティアナは魔力量が少なかったので、決め手となる砲撃魔法が満足に使えなかった。 その対策としてなのはが教えた魔法こそが、『スターライトブレイカー』である。 「モード3解放も、スターライトブレイカー習得もしたばかりだし、これからだよ」 ティアナになのはが微笑みかける。 ちなみにスターライトブレイカーはなのはの切り札の一つである。そのためティアナは他人の魔法を借り受けていることに後ろめたさと申し訳無さを感じている。だからこそ彼女の今の目標はスターライトブレイカーを独自にアレンジし、オリジナルの魔法として修得することだ。 そしてティアナは生来の生真面目さ故に、焦りを感じていた。 「なのはさん、また魔法見てもらえますか?」 そんな焦燥故に発されたティアナの台詞に、なのはは力強く頷いた。 ・・・ 「……はやて、お前準備早くないか?」 機動六課に入ることを決めてから数時間、俺はいつの間にか手続きに必要な書類を書かされ、オマケに制服まで着させられていた。フォワード陣用の制服らしい。 「善は急げ言うやろ? だからカズマ君が寝ている間に一通りの準備は済ませといたんよ」 隣でシャマルさんも呆気に取られていた。彼女も知らされていなかったらしい。 しかも書類の名字は『八神』と書かされたのだが、その時のシャマルさんは何故自分に相談しなかったのだと本気ではやてに詰め寄っていた。 「しかし何で制服なんて着てるんだよ。今日着る必要なんてないだろ?」 そう言った途端、ビシッと人差し指を突き付けられた。 「あかんでっ! 機動六課に入るんやから挨拶ぐらいはするやろ!」 だから気が早いんだって、はやて。 「そんなの正式に決まってからでいいんじゃないか? まだ目覚めてから五時間しか経ってないんだぞ?」 実際まだ疲れが取れていないわけではないのだ。混乱もあるし、戸惑いもある。気持ちの整理をつける時間ぐらいは欲しかった。 「今日はもう皆への挨拶だけやし、終わったら休んでええから」 ニコニコ笑いながら俺の心を読んだかのような発言をするはやて。 「あ、制服キチンと直しとってな。ウチはちょっとシャマルに話があるから。待っといてな~」 彼女は言うだけ言ってさっさと出ていった。 正直、こんな所で放り出さないで欲しかった。 ・・・ 「はやてちゃん、カズマさんを六課に入れた"本当の理由"を教えて」 白のタイルが敷き詰められ、洗面台が配置されている部屋で茶髪の女性に金髪の女性が詰め寄る。 ここは女子トイレであり、茶髪の女性ははやて。そして彼女に詰め寄る金髪の女性はシャマルである。 「やっぱりシャマルには隠し事できんなぁ」 苦笑を浮かべながらはやてはシャマルを優しく押し退ける。 こほん、と咳払いをし、彼女は表情をより引き締めた。 「シャマル、私はもっと出世するつもりや」 シャマルも、彼女に合わせてより表情を引き締めた。 「私は今の地上本部を建て直したい。夢も叶えたい。そのためには、権力がいるんよ」 「それは、分かってるつもりだけど」 短い金髪を揺らしながら、シャマルが答える。 彼女も、はやてがそれを志していることは知っていた。今それが出てきたことが理解出来ないだけで。 「そして権力を得るためには自分の手足となる存在が必要になる。まぁ、ウチはシャマル達がいる分、恵まれとると思うけど。でも数は多い方が良い。それも使い勝手のいい存在が」 ウチは家族を切り捨てたりは出来んから、と言ってはやては締め括った。 「その候補に、カズマさんを?」 「そ。記憶喪失の次元漂流者、使えそうやん?」 正確には次元漂流者扱いやけど、と続けるはやて。唇の端を歪めながら。 「……それが、彼を六課に入れた本当の理由なの?」 「私を、軽蔑する?」 彼女の問いに、シャマルは首を縦に振って答えた。 「嘘を言うはやてちゃんは、軽蔑します」 にこり、と笑みを浮かべながら。 「私は、嘘なんか……」 「はやてちゃんは悪ぶったりするの下手ですから」 はやては苦虫を噛み潰すような表情を浮かべ、シャマルを睨んだ。とはいえその目に大して力など込もってはいないが。 「シャマルには、嘘つけへんな……」 「シグナムでも気付きますよ?」 悪戯っぽい笑みを浮かべるシャマル。 「で、本当の理由は?」 その質問に、彼女は目を反らしたまま答え出した。 「少しだけ、昔の自分を思い出したんよ」 その言葉は、一瞬で彼女達にあの事件の記憶を蘇らせた。 「もしかして、『闇の書事件』のこと?」 『闇の書事件』。 はやてとシャマル達、守護騎士ヴォルケンリッターが出会い、そしてなのはやフェイトとはやてが親友になるきっかけとなった事件である。 事件の始まりはロストロギア『闇の書』の主に八神はやてが選ばれたこと。はやては『闇の書』の守護騎士システムによりヴォルケンリッターのシャマルやシグナム、ヴィータ、ザフィーラと出会い、はやての生来の明るさと優しさによって彼女達は親交を深めることとなる。 それから半年後、はやてが『闇の書』によって命が危険に晒されていることを知った守護騎士達が主の許可を得ずに彼女の命を救うべく動き出した。その結果、彼女達は管理局と敵対することになったのだ。 紆余曲折あって事件は解決し、はやてとヴォルケンリッターは行き長らえることが出来たが、『闇の書』は消失、そして彼女達は贖罪のために管理局に所属しなければならなくなった。 そして罪を償い、今に至る。 「私は、あの事件で罪を背負った」 「はやてちゃんは別に何もしてな――」 シャマルの弁護を、はやては首を振って否定した。 「守護騎士みんなを止められなかったんやから、やっぱり私の責任や。例え何も知らなかったとしても、気付いてやれんかったのは罪なんよ」 彼女はシャマルの目を、真っ直ぐに見つめる。 「カズマ君も……例え本人の知らない内に起こったことでも、それは罪になってしまう」 「だから、同情したの?」 いや、と言ってはやては首を振る。 「私は沢山の人が助けてくれたから今がある。だからウチも、そういう人を救ってあげたいって思った。彼を見て、そう思ったことを思い出せたんよ」 今日一番の笑顔を見せながら。 ・・・ 「犯罪者が何の用よ」 出迎えがしらの台詞がこれだった。 なのはなる自分が傷付けた女性に謝罪と弁解を行うために彼女の部屋を訪ねたのだが、扉を開けた途端、部屋にいる五人中四人に睨まれる羽目となったのだ。 ちなみに俺に凍り付くような視線とセットで言葉を投げ掛けてきたのは橙色の髪をツインテールに結った少女である。どうやら四人のリーダーらしい。 「俺は、その、過失で殴ってしまった女の子に謝罪をしようと……」 「過失、ね。アレを過失で済まそうとするなんて大した奴ね」 必死に弁明しようとするこちらの言葉をぶった切るように先程の少女が発言する。 その反抗的な言葉に今にもキレそうになる自分を懸命に抑えた。 「ティアナ、少し言い過ぎだよ。それにあの攻撃は彼自身の意思じゃなかったって言ったじゃない?」 俺が謝罪しようとしている少女、すなわちなのはが仲介に入る。優しげな喋り方を聞き、ティアナと呼ばれた少女が顔を引っ込めた。 「あたしはなのはさんを傷付けた人を、許したくありませんっ!」 青髪ショートの少女が叫ぶ。泣きそうな声で言われては、怒るに怒れないではないか。 「いい加減にせえ。ティアナもスバルもそんぐらいにしとき」 あのはやてが今まで聞いたことがないほど厳しく真面目な声を発した。――こんなことを思っていることがバレたらはやてに叩かれそうだが。 「部隊長命令や。フォワード陣はシャマルと共にロングアーチと合流し、報告を受けること」 「はやて部隊長、しかし……」 抗議の声を上げるティアナを軽く睨んで黙らせるはやて。彼女にこんな能力があるとは驚きだ。 「カズマ君、さっきから失礼なこと考えておらん?」 「滅相もありません」 今のはやてに反抗する気は全く起きなかった。 「とにかく、フォワード陣は退室すること」 「「「「は、はい……」」」」 今度は大人しく四人とも出ていった。ただし全員に睨まれながらだが。しかも小学生くらいに見える青髪の少年と桃色の髪の少女に睨まれるのは、特に堪えた。 「じゃあ、私も出るから」 「お、おい?」 何故彼女まで、という疑問が頭を掠めた。 「二人で話したいやろ?」 「流石はやてちゃん、ありがとう」 意味ありげな笑みを浮かべるはやてとそれに答えるように微笑むなのは。 全くついていけなかった。 「ほなな~」 バタン、と部屋の扉が閉まる音が無惨にも響いた。 「……」 やたら気まずかった。 「あの、えっと」 「あ、な、何だ?」 なのはに話しかけられて、ようやく彼女の方に視線を向けた。 「わたしはね、高町なのはって言うの。よろしくね」 彼女が白い手を向ける。いくつも豆後があるのに、とても綺麗に感じた。 「俺は、カズマって言うらしい。よろしく、な」 こちらも彼女の手に自分の手を重ねた。握りしめた手に伝わる熱が心地良い。 「うん、カズマ君だね?」 にこりと笑うなのは。その清々しい笑みは、見ているこちらにも元気を分けてくれそうだ。 「その、あの時は、すまん」 「気にしないで。あの時の苦しそうなカズマ君を、知ってるから」 こっちの記憶は逆に途切れ途切れなのだが、確かにあの闘争本能と戦っている時は苦しかった。 「実はあの時……」 「そういう話はよそう? はやてちゃんから聞かせてもらうし。それよりカズマ君はこれからどうするのか、話してほしいな」 優しげな口調で語りかけるなのは。とてもじゃないが、あの極太ビームを撃っているのと同一人物とは思えない。 「あ、ああ、そうだった。実は俺、さっき機動六課に入隊することが決まったんだ。それで挨拶も兼ねてここに」 「そうなの? 驚いたなぁ。はやてちゃんって何でも自分で決めちゃうんだから」 困ったふうになのはが笑う。こちらも釣られて笑ってしまった。 「そっかぁ。カズマ君が同僚かぁ。ふふ、男の人って六課じゃ珍しいから楽しみだな」 確かに六課には女性が多い。軽くしか見てはいないが、バックヤードは比較的男性もいる。しかしメインとなるスタッフはほとんどが女性なのだ。ここが軍隊にしろ、警察にしろ、荒事や戦闘を行う組織とは思えない。 ちなみに自分にこんな観察力があることにも驚きだった。何かの組織にでも属していたのだろうか? 「何で六課はこんなに女性が多いんだ?」 俺の質問は至極当然だと思うのだが、聞かれた彼女は困ったふうに肩をすくめたのだった。 「――まぁ、機動六課は特殊な実験部隊だから。はやてちゃんがスカウト出来る人材に限られちゃったと言うか……」 つまりは知り合いや接しやすい同性しか集められなかったわけだ。にも関わらず強力な部隊を編成出来たのは流石としか言いようがない。この数時間ではやての印象がころころ変わるのが不思議だった。女というのはそんなものなのだろうか? 「まぁ、俺は別にいいけどな」 「あー、カズマ君、鼻の下伸ばしてない?」 してないしてない、と慌てて首を振る。そう言えば、そんなこと考えたこともなかった。 シャマルさんもフェイトもはやても、そして目の前のなのはも揃って美人であるにも関わらず。自分にはそういう話が過去にあったか知らないが、おそらく無いような気がした。 「というわけで、短い間だけどこれから宜しくね、カズマ君」 ・・・ 「何故襲撃犯を機動六課に配属させ、しかもフォワードに置くなどという暴挙に出たのか、説明していただけますよね、はやて部隊長?」 後方支援専門の部隊、ロングアーチのスタッフに囲まれる中、ティアナがはやての襟首を掴み、彼女の首をガクガク揺らしていた。氷のように冷たい声を出しながら。 「ティ~ア~ナ~、そんなに揺らしたら~、喋れんやん~」 対するはやては彼女に振り回されながらも余裕の表情を浮かべていた。 (何やってんだはやて……) こっちは端から眺めるしかなかった。 この指令室には現在、機動六課の主だったメンバーが揃っているらしかった。なのはを除いて、だが。そのほとんどはやはり女性だった。 目的は俺のことで目くじらを立てるティアナという橙色の髪の子を黙らせ、他のメンバーに見せつけることだと思う。はやてにとっては明日の発表に備えての策なのだろう。 もしこの考え通りだったら、俺は意外と頭が良いのかもしれない。もしそうなら嬉しい限りだ。本来の自分が馬鹿だとは思いたくない。 「はやて部隊長」 「分かっとるから離してや」 ようやく手を振りほどくティアナ。ただし態度は全く変えていない。 「ティアナ、上官にそんな態度とってたら示しがつかんで」 「も、申し訳ありません!」 はやてがちょっと態度を変えただけで彼女が慌てて謝り出す。その態度の変化に思わず笑いそうになった。 「明日正式に発表するつもりやけど、ティアナの言う通り、カズマ君は機動六課に配属することになりました。あ、カズマ君て昨日の事件起こした彼の名前な」 彼女が俺を指差す。視線が集まる感触に、居心地の悪さを感じた。 「フォワードに加わってもらうつもりや。スターズ、ライトニングのどっちに入れるかはまだ検討中やけどな」 「待ってください!」 はやての言葉を遮るように発される叫び。無論、ティアナだ。 「何故彼が機動六課に入ることになるんですか!?」 「その理由は、追って説明するから」 何も言わせない、固い口調だった。 「だいたい彼の罪は――」 「あれは事故や。“訓練中に”起こった事故。それ以上もそれ以下もない」 これ以上ないほど固い口調で言い切った。それが真実だと断定するように。 「なっ……、分かりました。では一つだけお願いが」 「何を言うても決定は覆らんよ?」 その言葉に一瞬怯みながらも、彼女は手を強く握りしめながら口を開いた。 「彼が機動六課に入る以上、その実力があるか試させてください」 「無ければ鍛えるだけや。フォワードの皆かて最初から実力あったわけやないやろ?」 分かってます、と言いながら彼女は続けた。 「実力も測れますし、挨拶代わりにもなります。短い間でも同じ場所で働く以上、必要ではないかと」 そして彼女は息を吸い、それを口にした。 「だから彼と、戦わせて下さい」 ・・・ 対峙するティアナとカズマ。互いに纏うは魔法の衣、振るうは魔法の力。だが記憶がないカズマは、ティアナとどう戦う? 次回『模擬戦』 Revive Brave Heart 目次へ 次へ
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トップ|基礎知識|合体|訓練所|バトルネット|攻略|マップ|デビル|魔法・技|特殊能力|アイテム|その他 デビダスマスター シナリオの進捗により、居場所がかわる。光の書:ヴァルハラ・時の塔 ⇒ 魔界『中央』・セントラルランド ⇒ ヴァルハラ・アヴァロン ⇒ 古の塔・古の塔 闇の書:魔界『中央』・セントラルランド ⇒ ヴァルハラ・時の塔 ⇒ 原宿・原宿小学校 ⇒ ヴァルハラ・アヴァロン ⇒ ディープホール・ディープホール デビダスチェック デビダスクイズ|1回目|2回目|3回目|4回目|5回目|6回目 デビダスチェック デビダスの登録数に応じて、報酬をもらえる。 上へ デビダスクイズ 5つのクイズすべてに正解すると、報酬をもらえる。 1回目 光の書 闇の書 報酬;アタックのおこう・ガードのおこう・マジックのおこう・報酬;スピードのおこう・Mガードのおこう・ラックのおこう 報酬;アタックのおこう・ガードのおこう・マジックのおこう・報酬;スピードのおこう・Mガードのおこう・ラックのおこう 上へ 2回目 光の書 闇の書 報酬;No.165「LV13〈オニ〉イシトク」が仲魔になる 報酬;No.091「LV19〈リュウ〉ヒュドラ」が仲魔になる 上へ 3回目 光の書 闇の書 報酬;No.226「LV16〈ヨウマ〉かかし」が仲魔になる 報酬;No.013「LV24〈カミ〉オグマ」が仲魔になる 上へ 4回目 光の書 闇の書 報酬;No.240「LV26〈ヨウマ〉マーメイド」が仲魔になる 報酬;No.233「LV26〈ヨウマ〉ルサールカ」が仲魔になる 上へ 5回目 光の書 闇の書 報酬;No.022「LV42〈カミ〉ダグダ」が仲魔になる 報酬;No.184「LV42〈オニ〉シュテンドウジ」が仲魔になる 上へ 6回目 光の書 闇の書 報酬;No.112「LV53〈リュウ〉ヨルムンガルド」が仲魔になる 報酬;No.112「LV53〈リュウ〉ヨルムンガルド」が仲魔になる 上へ
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エリアサーチ 魔力で生成した「サーチャー」と呼ばれる消費型端末を複数飛ばす、中距離探索魔法。 サーチャーは術者に視覚情報を送信し、これによって術者はサーチャーの届く範囲すべてを視認捜索することができる。 変形・シューティングモード 魔力砲による砲撃を行うための形態。 この形態から放つ砲撃魔法「ディバインバスター」により、暴走する魔法の強制封印を行うことも可能。 ディバインバスター シューティングモードの状態で魔法陣展開、杖の周囲に生成される帯状魔法陣によって魔力の放出と収束をコントロールし、大威力の砲撃を放つ。 本来は攻撃用の魔法だが、今回は封印のために使用されている。
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【機動六課サイド】六話「爆走!クリムゾンウインガー!!」Aパート 【AAMON本拠地 兵器開発室】 「ようし…完成だ…!」 死神博士は、仮面ライダーアウレフを倒すべく、新型スーパーマシン・ダークセーバーを完成させた。 ダークセーバーは「CBR400F」に異常改造を施し、外装にバズーカ砲をも防ぐ特殊金属の鎧を装備した、恐るべきマシンである。(なお、この鎧はジャッカルを象っている) 「このダークセイバーに乗るのは貴様だ…現れよ!ジャッカル男!」 「グリィィィィィイ!!」 開発室の扉が開き、怪人ジャッカル男が姿を現した。 「ジャッカル男…貴様は一流レーサー級の腕前を持つ改造人間だ…このダークセーバーを乗りこなし、見事、アウレフを倒してみせよ!」 「グリイィィィィィイ!お任せください…死神博士!」 【モトクロスレース場】 その頃拓哉は、ティアナの頼みを受け、彼女のバイクテクニックの訓練のコーチをしていた。 今はティアナがゴールし、結果を報告している最中である。 「タイムは三秒縮まってる。中々良い調子だよ。」 「ホント!?」 「でも、まだまだちょっと、甘いかな。」 「あ…やっぱり…じゃあ、もう一周!」 「おいおい、これで三週目だろ?持たないぜ?」 「もうすぐあたし専用のマシンが届くの。だから完璧に乗りこなすためにも、腕を磨いておかないと…」 「ふう…わぁかったよ。もう一周ね。」 「!、うん!」 ティアナはヘルメットを被り、マシンのアクセルを踏んで走り出す。 拓哉はティアナのスタートと同時にアナログストップウォッチのスイッチを入れるが… 「…ん?」 ストップウォッチの針は進まなかった。 拓哉はなんどもなんどもスイッチを押すが、やはり針は動かない。 「…嫌な予感がする。」 拓哉は遠くなっていくティアナを見つめ、不安を募らせた。 【レース場 コース中盤】 拓哉の不安をよそに、ティアナはコース中盤まで差し掛かる。 先程より調子が良く、「この調子でゴールを…」タイムを焦るばかり、ティアナは良い結果を出すことのみに執着していた。 そしてそんな彼女のマシンに向け、一発の槍が飛んできた。 「!?、きゃ!?」 槍はマシンのタイヤを貫き、ティアナはバランスを崩して倒れたマシンの上から投げ出され、硬い地面の上を転がった。 「クッ…しまった…」 「ギィ!ギィ!」 すると槍が飛んできた方角から十人ほどの戦闘員が現れ、倒れているティアナを取り囲む。 「こいつが神城拓哉の仲間か?」 「ああ、捕らえて人質に…」 「待てぃ!」 「「!?」」 空中からシャウトが響き、拓哉が空中で一回転しながら地上に降りてきた。 「た…拓哉…」 「予感的中!ティアナ!大丈夫!?」 「神城!貴様何故ここへ!?」 戦闘員の一人が驚きながらそう言う。 「虫の知らせって奴さ!来い!!」 「ギィ!」 戦闘員達は槍を構え、拓哉に襲い掛かる。 拓哉はトリッキーなアクションで戦闘員達の槍をかわし、素早い動きを駆使して様々な技を繰り出し、戦闘員軍団を蹴散らした。 しかし槍部隊を倒したのもつかの間、次は戦闘員オートバイ部隊が現れ、拓哉に向かってきた。 「休む時間ぐらいくれってんだよ…変身!トオッ!」 拓哉は変身ポーズを取り、宙に飛ぶ。 そしてアウレフに変身した拓哉は待機していたガルベストンに空中から着席し、アクセルを踏んでマシンを爆走させる。 アウレフの駆る青いガルベストンは戦闘員オートバイ部隊と激突し、激しいバイク戦を繰り広げる。 しかし、いくら戦闘員の腕がよくとも戦闘員達が乗っているのは通常のバイク。 スーパーマシン・ガルベストンに乗ったアウレフに適う筈もなく、バイクを扱ったアウレフの攻撃の前に次から次へと撃墜されていった。 しかしアウレフは気付いていなかった。 自分のバイクテクニックとガルベストンの性能が、隠しカメラでサーチされていることに… 【AAMON本拠地司令室】 「見よ、ジャッカル男。あれがアウレフのバイクテクニックだ。」 「ハッ!」 ジャッカル男はガルベストンを駆るアウレフが写ったモニターを見つめる。 「どうだ?」 「俺とほぼ互角の腕をしていますが、マシンの性能は俺のダークセーバーの方が上です。 マシン性能の差で私の勝ちですよ。」 「クックックック…たぁのもしいぞ…ジャッカル男…」 ……… 「終わったか…」 敵オートバイ部隊を全滅させたアウレフは拓哉に戻り、ガルベストンから降りて戦闘員達のバイクの残骸を見つめる。 「おかしい…手応えがなさ過ぎる…それに何だ…この妙な不安は…」 「拓哉…」 「ん?ああ、ごめんティアナ!放置しちゃって!」 拓哉は右足を抑えながら立っているティアナに駆け寄り、懐から包帯を取り出す。 「うお!包帯!」 「用意は周到にってね。でも、戻ったら「ラファエル」に診せ…」 「ティィィィィィィィアァァァァァァナアァァァァァア!!」 「「ん?」」 拓哉とティアナは凄まじい雄叫び(?)を耳にし、雄叫びが聞こえた方向を振り向く。 そこにはグリンクローバーを爆走させ、こちらに猛スピードで突っ込んでくる睦月の姿が… 「誰?」 「睦月兄…」 当然ノリ的にグリンクローバーの車体は拓哉を跳ね飛ばす。 そして睦月は拓哉を跳ね飛ばした後ブレーキを掛けてマシンを止め、足を怪我しているティアナの傍に大急ぎで駆け寄る。 「大丈夫かティアナ!?俺、救急箱持ってきたから…」 「睦月兄…心配してくれるのは嬉しいんだけど…」 「え?」 「あれ…」 ティアナは跳ね飛ばされて頭を地面に強く打ちつけ、頭部からおびただしい量の血を流して倒れている拓哉を指差す。 「あれ?なにあれ?」 「跳ね飛ばした自覚がないのかい!?」 【機動六課隊舎医務室】 「…!」 享一に治療魔法をかけてもらいながらティアナの隣に立っている睦月を睨む拓哉。 当然その眼光からは憎しみの念が満遍なく放たれている。 「いやぁ…ごめんごめん!ティアナが危ない目にあってるような気がしてバイクをとばしてたら、周りの「どうでもいいもの」が見えなくて…」 「…それ謝ってるつもりですか?」 「…ごめん。」 拓哉に深く頭を下げる睦月。 「まぁ良いじゃないか拓ちゃん!助かったんだし。」 「黙れエロ医者!改造されてなかったら間違いなく死んでたんだぞ!」 「それだけ元気があれば心配はないよ。はい、治療終わり。」 享一は治療魔法を止め、拓哉の頭部に包帯を巻く。 「こっちも終わりです。」 「ありがと、ラファエル。」 ラファエルも治療魔法を止め、ティアナの足に湿布を張りつけ、テープで止める。 「まったく久々の出番かと思ったらこの程度の怪我治しか…目立たないなぁ…」 享一はそう呟くとデスクの引き出しからアダルト雑誌を取り出し、読み始める。 「お前…」 「医者がアダルト雑誌を読んじゃ駄目って法律は無いよ。」 「いや、だからといってお前…」 「失礼。」 「「ん?」」 医務室のドアが開き、橘が入室してくる。 「橘さん!」 「久しぶりだな、ティアナ。そして…」 橘は拓哉の方に向き直り、挨拶する。 「君が神城拓哉君か。俺は橘、ギャレンだ。よろしく頼む。」 「拓哉です、橘さんのお話は、ティアナから聞いています。よろしくお願いします、先輩。」 拓哉と橘は握手を交わす。 「すまないな。俺の弟子が、迷惑をかけてしまったようだ。」 「いやはや全く…」 「…」 小さくなる睦月。 「橘さん、聞きましたよ。」 「何だティアナ?」 「志村さんが…裏切り者だったって…」 「ああ…俺の不手際だ…しかし、今は志村のことを話している場合じゃない。俺たちが何故来たか…分かるな?」 「はい…」 ティアナは座っていた椅子から立ち上がる。 「完成したんですね…「クリムゾンウインガー」が…」 「ああ。ブルースペイダー、レッドランバス、シャドーチェイサー、グリンクローバー、そしてブラックファングの五台を遥かに凌ぐマシンが完成した。 まぁ、話すより見てもらったほうが良いだろう。 拓哉、ティアナ、来てくれ。」 「「はい!」」 拓哉とティアナは、橘と睦月に連れられ、格納庫に向かった。 【機動六課隊舎格納庫】 「これだ。」 橘はマシンにかけられた灰色のシートを取り去る。 するとシートの下から、不死鳥を象った紅蓮色の美しいマシンが現れた。 「「おお~!」」 「最高速度970キロを誇り、スペード9「マッハ」、ダイヤ9「ジェミニ」、ハート9「リフレクト」、クラブ9「スモッグ」の能力を備えた、スーパーマシンだ。」 「これが…私の…」 「ただし、乗りこなすには厳しい訓練が必要だ。早速だが、訓練に入るぞ。」 「はい!」 ……… 数十分後、橘はバイク型のシュミレーションマシンを用意し、ティアナをそれに乗せる。 「ティアナ、これも付けろ。」 橘はティアナに奇妙なヘルメットを渡す。 「これをかぶることによって、脳内に映像が送られ、クリムゾンウインガーのスピードが体感できるようになる。」 「分かりました。」 ティアナはヘルメットをかぶり、シュミレーターのハンドルを握る。 「橘さん!準備OKです!」 「行くぞ!」 橘はシュミレーターのスイッチを入れた。 【ティアナの脳内】 スイッチを入れると同時にティアナの脳内にモトクロスレース場の映像が映し出される。 当然、ティアナはバリアジャケットを装着し、クリムゾンウインガーに乗っていた。 『ティアナ、映像が見えるか?』 「はい!」 『映像のウインガーのアクセルを踏め。それでシュミレーションスタートだ。』 「分かりました!行くわよ…ウインガー!」 ティアナはクリムゾンウインガーのアクセルを踏み、シュミレーションを開始した。 ……… 【機動六課隊舎格納庫】 100キロ、150キロ、200キロ…シュミレーターに表示されたスピードは50キロずつ上がっていく。 しかし、ティアナは呻き声一つ上げず、シュミレーターマシンのハンドルを操作していた。 「500キロを超えた…それでも呻き声一つ上げないなんて…」 「流石はティアナ!俺の妹分…」 拓哉と睦月は感心し、微笑む。 しかし橘は、真剣な表情を崩さない。 「橘さん?何難しい顔してるんですか?」 「睦月…まだ全力のスピードで走っているわけじゃない。本番はこれからだ。」 「え?」 「ティアナ!ティアナ!」 「!?」 睦月はティアナに必死に呼びかける拓哉の声に気づき、ティアナの方を振り向く。 「う…ああああああああ!!ああああああああああああ!!」 ティアナは急に強烈なうめき声を上げて苦しんでおり、体中に汗をかいていた。 スピードは700キロに達している。 「ティアナ!!!」 「くっ…やはり駄目だったか…!」 橘はシュミレーターのスイッチを切り、機能を停止させる。 ティアナの近くに居た拓哉はヘルメットを外し、気を失っているティアナを抱きかかえ、大声で呼びかけた。 「ティアナ!ティアナ!」 しかし、何度呼びかけてもティアナは反応しない。 「橘さん!上城さん!ティアナを医務室へ!」 「ああ!」 「…」 「睦月!しっかりしろ!」 「は!…は…はい!」 【医務室】 一時間後、ティアナは医務室のベッドの上で目を覚ました。 「ん…ん?ここは?」 「目が覚めた?」 「!?」 ティアナは突然聞こえた拓哉の声に驚き、隣を振り向く。 そこには、拓哉、橘、睦月が立っていた。 「拓哉…橘さん…睦月兄…」 「おはよ♪」 「…」 「ティアナ…」 「…そっか、あたし、700キロでリタイアしちゃったんだ…」 「ティアナ。700キロじゃないだろう?もっと前からダウンしかけていたと思うが?」 「う…」 ティアナは橘の一言に黙り、少ししてから口を開く。 「…橘さんの目はごまかせませんね。本当は500キロ辺りから辛かったです…でも…マシンを乗りこなしたかったから…」 「そうか…」 「…うっ…くっ…ティアナぁ…」 睦月は膝を落とし、布団に顔を埋めて泣き崩れた。 「ちょ!なんで睦月兄が泣くのよ!?」 「俺…気付いてやれなかった…ティアナが辛いのに…気付いてやれなかった…俺…俺…」 「睦月…」 「上城さん…」 「睦月兄…睦月兄のせいじゃないよ。」 「そうだ。俺も…ティアナの異変に気付きつつあったんだ…早く止めてやるべきだった…」 「僕だって…気付けなかった…」 「うっ…うう…皆…」 「おい!大変だ!!」 医務室の扉がいきなり開き、ヴィータが現れる。 「副隊長…」 「拓哉!怪人が出た!悪いけど先行してくれ!」 「どうして?皆で行った方が…」 「その怪人、おかしなバイクに乗ってるんだ!」 「え!?」 「そのバイク、お前のガルベストンと互角かそれ以上のスピードを持ってて、ヘリじゃとても追い付けねぇ!だからお前が先行して、そのバイクを叩き潰して欲しいんだ!」 「分かりました!」 「拓哉、俺も行く。味方は多いほうが良い。」 「…!(涙を拭き取る)俺だって行く!」」 「上城さん、橘さん、失礼ですが貴方方のマシンでは、ガルベストンのスピードには到底届かない。スバル達と一緒に来てください。」 「くっ…しょうがないか…」 「チクショー!」 「拓哉…」 ティアナは心配そうな表情で拓哉を見つめる。 「大丈夫!帰ってきたらまたバイテクを教えるから、それまで休んでろよ!」 拓哉はティアナにウインクを送り、ヴィータと共に医務室を出て行った。 「…睦月、拓哉はああいったが、なにか罠がないとも限らん。念のため、お前だけでもこっそり付いていってやれ。」 「あ…はい!」 睦月は橘の命を受け、医務室を出る。 「(拓哉、睦月兄…無事に帰ってきてね…!)」 ティアナはベッドの上で、戦場に向かった二人の無事を祈った。 前へ 目次へ 次へ
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プロローグ この次元世界には無数の悪意が満ちている。 5年前に進攻を開始した恐竜帝国は日本が開発したスーパーロボット『ゲッターロボ』の活躍と『巴武蔵』の犠牲により再び地下へ追いやられた。 そして3年前に現れたインベーダーも また日本が開発した『ゲッターロボ』と『ゲッタードラゴン』の活躍により人類はなんとか勝利を修める事ができた。 そして平和が訪れたかに見えたこの世界。だがひそかに戦いは続いていた。 ゲッター線開発の一任者、『プレシア・テスタロッサ』が主犯の『PT事件』……『八神はやて』を主とする守護騎士達の起こした『闇の書事件』……。 PT事件は首謀者のプレシア・テスタロッサがかつてのゲッターロボのパイロット、『流竜馬』に殺害された事により解決。 そして流竜馬は刑務所行きとなり、プレシアが蘇らせようとした『アリシア・テスタロッサ』の遺体は姿を消した。 その後に起こった闇の書事件も謎の組織、『時空管理局』の協力で解決した。 そんな世界で、まだ10歳の少女の新たな物語が始まろうとしていた。 彼女の名前は『フェイト・テスタロッサ』。デバイス『バルディッシュ』と共に闇の書事件を解決へと導いた魔導師の一人だ。 彼女、フェイトの運命はゲッターによって大きく変わろうとしていた……。 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのは外伝・ラクロアの勇者 第11話 アースラ内救護室 疲れてはいたが、不思議と眠気は訪れなかった。 2~3度寝返りを打ったが一向に眠気が訪れないため、仕方なく体の位置を仰向けにし、リンディの到着を待つ。 途中大きな音がしたため自然と首を嵌め殺しの窓の方に向けると、夜の様にほの暗かった景色か金属で出来た壁に変わっていた。 おそらく本局内のドックだろうと結論付けたナイトガンダムは首を戻し、天上を見据える。 「(・・・・今更だが・・・・ラクロアではベッドで寝る事など、ほとんど無かったな)」 ラクロアでの生活は9割、いや10割が旅と言っても過言ではなかった。 湖でフラウ姫を助けそのまま城へ行き、そこでサタンガンダムの存在を知り討伐の旅に出た。 旅ゆえ、殆どを野宿で過し、たまに止まる宿でも値段からか、布団が硬かった事を思い出す。 それに比べ、月村家で自分に提供された部屋のベッドは逆に居心地が良すぎ、当初は全く眠れなかった。 「あの時は隠れで床で寝ていたなんで・・・言えはしないな・・・・」 今ではその様な事は無く、ふかふかのベッドの感触を味わいながら眠る事が出来るようになった。 自分としては凄い成果だと思う。(アリサには猛烈に笑われたが) 今寝かされているベッドも、月村家の物に負けず劣らず心地よい。それでも眠気が襲ってこないとなると、 体質によるものか、見知らぬ部屋だという無意識の警戒心によるものだろう。諦めるしかない。 「・・・・昔の私も・・・そうだったのだろうか・・・・」 自分という存在がラクロアに何時からいたのか、正直今でも分からない。 気が付いたら焼け野原の真ん中にいた。それ以前の記憶など全く持ち合わせていなかった。 あの時は景色、建物、食べ物に関しても、見る物全てが新鮮だった。どれも知らない物ばかり。 剣の腕に関しては記憶には無いものの、体に染み付いていたため剣士だったのかという予想しか出来ない。 まさに自分の事は何一つ知らない。だが、この世界に来る切っ掛けとなり、三種の神器の力を借りてどうにか倒す事ができた強敵、 『サタンガンダム』に関しては別だった。奴の名前は、当時はレビル王からはじめて聞かされたため、記憶になかった。 だが、奴の姿を見た瞬間、邪悪な気配と途轍もない魔力に圧倒されはしたものの、初めてとは思えなかった。 「・・・・奴に・・・会った事があるのか・・・・・」 ならあの戦いの時、奴が自分に何かを言ってくる筈。もし、以前の自分か奴に手を貸していたのなら尚更だ。 だが、奴は自分を『自らの城に潜入してきた敵』としか見ていなかった。自分を全く知らなかった。 「・・・・知っていたのは私だけ・・・・・ならば私は・・・・・やめよう」 軽く頭を振り、考える事をやめる。手掛りがない以上何を考えても仮説で終ってしまうからだ。 「お待たせ~」 そのタイミングを待っていたかのように扉が開き、トレイに軽食をもったリンディが入ってきた。 リンディが持って来たサンドイッチとスープの軽食を、ナイトガンダムはお礼を言った後黙々と食べた。 自分でもこれほど空腹だった事に驚きながらも全て平らげ、スープを飲み干す。 その光景を満足げに見つめていたリンディに改めてお礼を言った後、今回の戦闘に関しての報告を事細かに説明した。 フェイトを人質に取った仮面の男。 守護騎士達は主に内密に収集活動を行っている事。 闇の書の主は争いを望んでいない事。 そして、闇の書の力が主に必要不可欠なこと。 「なるほどね・・・・・それなら、彼女達の行動も納得がいくわね・・・・」 10年前の闇の書事件の時の彼女達と比べると行動が積極的でない事、人間に対してはリンカーコアから魔力を吸収するのみに留めている事、 そしてアルフとナイトガンダムの報告から纏めると、今回の主は闇の書の完成を望んではいない、その力を欲してはいない、これはほぼ確定と言って良いだろう。 それなのに彼らは闇の書の完成を望み、魔力を集めている。 「闇の書の力が主に必要不可欠ね・・・確かにガンダム君の言う通りね・・・そうとしか考えられない」 「はい。ですが、主が望んでいないのに、なぜ彼らは集めるのでしょうか・・・・そういえば、 闇の書が完成したら絶大な力が手に入るとしか聞いてませんが、その力に他に使い道があるのでは?」 それなら彼女達の行動にも納得がいく。絶大な力といっても、三種の神器のような、ただ自分の力を底上げするだけではない筈。だが 「いえ・・・・それは無いわ。無限書庫・・・ああ、とても大きな図書室と考えてくれて良いわ。ユーノ君がね、そこで闇の書に ついて調べてくれてるの。さっき途中結果を報告してくれたんだけどね・・・・」 躊躇するように言葉を詰まらせた後、リンディは報告通りに話し始めた。 闇の書の本来の姿、使い道。そして、持ち主に対する性質の変化。 「一定期間、魔力の収集が無いと、持ち主の魔力や資質を侵食し始めるのよ」 「なら、彼女達の行動も理解できます。主を救うためには十分な理由です」 それなら、自らの誇りを踏みにじってまで魔力を集める彼女達の行動も理解できる。だが、 「だけどね、もし完成したらそれこそ主の命を縮めるのよ。完成した闇の書は持ち主の魔力を際限なく使わせる。 無差別破壊の為に。だからね、ここで疑問が出るのよ。なぜ彼女達はあえて完成を急がせるのか? 確かに一定期間、魔力の収集が無いと、持ち主の魔力や資質を侵食し始める。だけど完成させたら結果は同じ、矛盾している」 たしかにそれでは矛盾している。間を置いて収集するならまだしも、シグナムの様子から、闇の書の完成を急いでいたように見える。 これでは逆に主の命を縮めることにる。だが、剣を交えたからこそ分かる。シグナムが嘘をついてはいないと。心から主を救おうとしていることを。 「・・・リンディ殿、闇の書の力というのは、本当に無差別破壊のみにしか使えないのでしょうか?」 「ええ、局のデータに残っている物や、ユーノ君が調べてくれた昔の物まで確認したけれど、それ以外で使われた事はないわ。 主に関しても、完成後、全員が・・・・・・」 「その時、シグナム・・・・守護騎士達はどうしていました?やはり主の護衛を?」 ナイトガンダムの質問に、リンディはハッとする。 そういえばそうだった、自分達は『闇の書』そのもに関しては徹底的に調べているのに対し、守護騎士に関しては殆ど調べを進めいていない。 『主を守るための騎士』それで十分だと思っていた。 「ちょっと待って、前回の事件なら今すぐ調べられるわ」 リンディは早速、端末を取り出し前回の闇の書事件のデータを漁る。 程なくして、目的である『闇の書完成後の守護騎士』についての報告書を発見、その内容にただ呆然とする。 「・・・・・前回の事件、彼女達は主によって『収集』されているわ・・・・・・彼女達はリンカーコアからなる『魔法生命体』 『収集』されたとなると・・・・消滅、人間で言うと死と同じ事ね」 「ならば・・・・・まさかだとは思いますが、シグナム達は闇の書の完成が主に齎す本当の影響を知らないのでは?」 「まさか」と声を出し否定しようとするが、リンディはその言葉を咄嗟に飲み込む。 そう、よく考えてみれば可笑しい。なぜ闇の書事件は今まで同じ様な末路を辿ったのだろうか? 確かに効力からして主に逃げ道は存在しない。だが、今までの主は収集を率先して行っていた。正に自滅である。 魔力の収集に関しても『一定期間』であり、直に収集が滞ると侵食されるわけではない。いっそ、ある程度集め、 繰り返し使ったほうが効率としてはいい筈。だが、主達は完成を急いだ。 (守護騎士達を戦力として使用したケースもあるか、結果的には完成させている) 闇の書に操られての行為かと思ったが、そうなると今回のケースは当てはまらない。 それ以前になぜ守護騎士達は主を侵食する事を話さなかったのか?確かに完成させるために彼女達が収集されるケースもある、 だが全てではない。だからこそ末路を知ってる筈。 主に使える守護騎士である以上、いかに外道な主でもその事を言わないのは可笑しい。ならなぜ闇の書の長所のみを説明したのだろうか? 考えられる可能性は一つしかない。守護騎士達がその事を忘れているという事。 そもそも闇の書自体、悪意のある改変が原因で恐ろしいデバイスと化している。その影響が守護騎士達に反映されていても可笑しくはない。 自然とリンディは目を閉じ腕を組み、自分の中で考えをまとめていく。 そして自分の中の考えがまとまったのか、ゆっくりと瞳を開け、ナイトガンダムを見据える。 「・・・・・確かに、主を想っている彼女達が、早期に闇の書を完成させようとするのは可笑しいわね。 本当に影響を知らずに、絶大な力が手に入るとしか信じていない。ガンダム君の考え・・・・間違ってはいないかも知れない。 とにかく、今までの守護騎士達についても調べてもらうように頼んでみるわ。ああ、ガンダム君はすずかさんの家に戻らないとね。 あと、君の鎧は治しておいたわ。傷だけだったからアースラの設備でもそれ程時間は掛からなかったわ」 その好意に早速お礼を言おうとしたが、『すずかさんの家』という単語を聞いた直後、ナイトガンダムは目に見えて慌てた。 「リ・・・リンディ殿!!私はどの位眠っていましたか!!?今は何時でですか!!!何時ですか!!!朝ですか!!?」 「ふふっ、落ち着いて。あの戦闘から一日しか経っていないわ。すずかさんの家にも、私の家に泊まる事になったって連絡は入れてあるから大丈夫よ」 その言葉に心底ほっとするナイトガンダムに、リンディは悪いとは思いながらもつい笑ってしまう。 その笑みに、ナイトガンダムもまた、目に見えて慌てた自分の恥を隠すかのように俯いた。 「さて、私は行くわね。帰るときは本局の転送装置を使うと良いわ。あと、よかったらフェイトさんの様子を見てあげて。 君にお礼がいいたいって言ってたわ・・・・あと、これだけは言わせて、本当にありがとう、フェイトさんを助けてくれて」 笑顔で手を振りながら退出するリンディを見送ったナイトガンダムは、一度大きく背伸びをした後ベッドから下りる。 「・・・・・新品のようだ・・・・・感謝しなくては」 そして、近くの机に飾られる様に置かれた自分の鎧を一度関心の瞳で見つめた後装着し、部屋を後にした。 アースラ内救護室 「よかったよ、命に別条が無くて」 「・・・・・うん・・・・・・」 心から安心するナイトガンダムとは裏腹に、フェイトの表情は重病人ではないかというほど曇っていた。 その表情にナイトガンダムは何か言葉をかけようとするが、それより早くフェイトは言葉を吐き出した。 「私・・・・役に立てなかった・・・・騙されて・・・・捕まって・・・・リンディ提督が優しい言葉をかけてくれたけど、 私に・・・・・・そんな言葉をかけてもらう資格なんて・・・・・無い!!!」 シーツを握り締め、吐き出す言葉にナイトガンダムは沈黙で答える。 フェイトもまた、感情に任せて吐き出した事に、今になって後悔した。 「(私・・・・何を言っているのだろう・・・・・・まるでガンダムを攻めるかのように言葉を吐き出して。 彼は自分を助けてくれて・・・・・心配してくれるのに・・・・・・最低だ)」 静まりかえる病室が心を重くする。もう何も言いたくは無かった。一人になりたかった・・・・否、消えてしまいたかった。今すぐこの場から。 「・・・・・フェイト・・・・・・」 名前を呼ばれただけで体をびくつかせてしまう。 いつもよりナイトガンダムの声は重かった。こんな自分に怒っているのだろう。当然だと思う。 だからこそ怖くて顔を向ける事が出来なかった。自然と体をこわばらせる。そして ビシッ! 平手にしたナイトガンダムの腕が、フェイトの頭に軽く打ち付けられた。 俗に言う『空手チヨップ』を受けたフェイトは、呆気に取られながらも、顔をガンダムの方へと向ける。 其処にいたのは、フェイトが予想していた怒った表情をしたナイトガンダムではなく、 いつもの笑顔で優しく自分を見据えるナイトガンダムだった。 「フェイト、自分を責めてはいけないよ。誰にでも失敗はある。誰にでもだ。だからこそ、今回の失敗を次の教訓にすればいい」 「・・・・でも・・・・・」 自分の中で納得が出来ないのか、フェイトは再び俯こうとする。だが、それより早くナイトガンダムの掌が、彼女の頭に優しく置かれた。 「それに、失敗をしない人なんていない。私やクロノ、リンディ殿さえ失敗はする。 失敗というのはね、物事を行ないう時には必ず体験する事なんだ。問題は経験した失敗に押しつぶされるか、 その失敗を今後の糧にするかだよ。私は、フェイトになら出来ると信じているよ」 「・・・ガンダム・・・・・」 「それに、君はリンディ殿だけじゃない・・・・なのはやアルフ、色々な人に甘えていい。君は確かに優秀な魔道師だ。 だけど、それ以前に君は子供なんだ。甘える事に資格なんて必要ないよ」 優しく頭を撫でられながら語りかけるナイトガンダムに、フェイトは恥ずかしいと思いながらも、暖かい気持ちに包まれる。 だからこそお願いしてみようと思う。恥ずかしいけど、早速実行に移してみようと思う。 「ガンダム・・・・その・・・・お願いがあるんだけど・・・・・」 やはり恥ずかしい。言葉が出ない。だけど・・・・・やってもらいたかった。だからこそ勇気を振り絞った。 「・・もうちょっと・・・撫でて・・・・ほしいな・・・・・」 顔を真っ赤にし、俯くフェイトに、 「かしこまりました。お姫様」 ナイトガンダムは一度恭しく頭を垂れた後、再びフェイトの頭を撫で始めた。 これで本局へ来るのは3度目、さすがにナイトガンダムの存在に慣れたのか、すれ違う局員からの目線も珍しい物を見るような瞳で 自分を見るような事は少なくなってきた。 後は特に用事は無いため、真っ直ぐに転送装置室に向かうナイトガンダム。すると、後ろから聞き覚えのある声に呼び止められた。 声からしてクロノだろうと思い、後ろを振り向く。案の定声の主はクロノだった。だが、彼の後ろには見覚えの無い女性が二人立っていた。 「(・・・・・・顔が似てる、双子か?・・・・それに獣の耳と尻尾・・・・使い魔か?)」 クロノには使い魔はいない筈、そうなると彼の知り合いの使い魔だろう。だが、ナイトガンダムはそれ以前に気になる事があった。 双子の使い間の内、髪が短い方の女性が、一瞬ではあるが自分に殺気を放った事に。 「クロノ・・・・彼女達は?」 「ああ、紹介するよ。僕の恩師の使い魔で、僕の魔法の先生でもある」 「リーゼアリアよ」 「リーゼロッテだぞ~!」 優しく微笑みながら自己紹介をするリーゼアリアと、無邪気に微笑みながら自己紹介をするリーゼロッテ、 数年来の友の様に気さくに挨拶をする二人に、ナイトガンダムは先ほどの殺気はただの気のせいとして処理する事にした。 「クロノの先生でしたか。私は(知ってるよ」 自分も膝をつき、頭を垂れ自己紹介をしようとするが、先ほど明るい声で自己紹介をしたリーゼロッテに止められる。 「異世界『ラクロア』から飛ばされた次元漂流者にして闇の書事件の協力者にしてクロノの友人である騎士、ガンダム君、噂は聞いてるよ。 今じゃ本局じゃちょっとした・・・・かなりだね、有名人だしね」 『有名人』と聞かされ、恥ずかしい気持ちになる。ある程度は覚悟してはいたが面と向かって言われるとその覚悟も簡単に折れてしまう。 「あ~も~照れちゃって、可愛いね~、クロノと一緒に可愛がってやりたいよ~」 「ロッテ、そんなにからかわないでくれ・・・・・帰るのかい?」 クロノのフォローに内心で感謝をし、これから月村家へ帰る事を簡潔に伝える。 なにか用事があれば少しの時間だか手伝うと申し出たが、クロノはその好意を直に断った。 「気持ちはありがたいけどね。君はなのは同様、ここの事を秘密にしている。君が世話になっている家に何時までも帰らないのは不味いな。何か進展があったら 連絡するから、今はゆっくり休んで来ると良いよ。アリア、ロッテ、僕達は急ごう。立ち話をしている時間も、今は無駄には出来ないからね」 何も知らない人から見れば、クロノがさっさとナイトガンダムの元から去るかのように行動しているかのように見える。 だが、実際にはそうではなかった。これにはクロノなりのナイトガンダムへの気遣いが含まれていた。 「(悪いね。でも、この二人と一緒だと別の意味で君が危険なんだよ)」 これ以上会話を続けると、ロッテあたりがナイトガンダムに何をするか(十中八九悪戯だろうが)分かった物ではない。 彼はとにかく真面目だ。彼女の悪さの良い鴨になる事は間違いない。 過ちは繰り返してはならない・・・・・生贄はユーノだけで十分だ。 だからこそ、彼には速やかに休息を与えてあげようと考えたクロノは二人を急かし、その場を立ち去ろうとする。 有無を言わさず歩き出すクロノに、リーゼ姉妹も一度手を振った後ナイトガンダムを見るのを止め歩き出した。 本当ならこれで終わり、クロノ達はエイミィの元へ向かい、ナイトガンダムは転送装置室に向かう筈。だが、 「あっ、クロノ、一つだけいいかい?今回の事件に関してなんだけど」 ナイトガンダムはクロノを呼び止め、リンディの話した闇の書事件の自分なりの予想を簡潔に話した。 一応リンディも納得した予想だったため、現場のリーダーでもある彼にも聞いてもらいという彼なりの配慮。 要点だけを話し、詳しい事はリンディに聞くように言った後、ナイトガンダムは一度頭を下げ、今度こそ転送装置室へと向かった。 「・・・・・・ねぇ、クロノ。彼の意見、どう思う?」 「簡潔に聞いただけだけど、納得出来る部分が多い・・・・・一度母さん・・・・提督に詳しく聞いてみるよ」 「そっか~」と天上を見ながら呟いたロッテは、ゆっくりとアリアの方へと顔を向け彼女の瞳を見据える。 「(計画を早める必要・・・・ありそうかもね・・・・・・)」 「(あの騎士・・・・実力もさることならがら頭も切れる。まったく、厄介なお客さんを連れてきたよ、クロノ達も)」 クロノの後ろを歩きながら念話で会話をする二人。当然クロノに聞かれては不味い内容。だが、ロッテは隠す事無く顔を顰める。 時より通りかかる局員が彼女の表情に体をびくつかせながらも、その表情を崩す事は無かった。 「(ロッテ、感情丸出しはやめなって・・・・・クロノに気付かれるよ。さっきも殺気を出していたでしょ?)」 「(ああ、ごめん。あの時の戦闘を思い出すと・・・・・・ついね。)」 あの戦闘のことを思い出すと否が応でも腹が立つ。あの一撃のダメージは今でも完全には抜け切れていない。 もし此処に自分達しかいなかったら遠慮なく攻撃を加えていただろう。 「(でもさ、あいつ正直厄介だよ。下手すれば父様が望む結果を滅茶苦茶にしかねない・・・・・消す?)」 確かにロッテの言う通りだと思う。正直、今回の闇の書事件を担当するアースラのクルーは自分達の思い通りに動いてくれている。 重要なポジションにいる人物は友や知り合いや弟子で構成されており、主戦力も執務官という立場からクロノが満足に動けない以上、 力はあるが、実戦経験に乏しいあの子供達だけとなる。確かにあの二人は素質があり下手な魔道師よりは戦力にはなるが所詮それだけ。 自分達では行動はせずにクロノ達の指示に従うだけの所詮経験が浅いお子様、どうとでもなる。いや、民間人が混じっている以上、クロノ達も行動を自首する筈。 後は表向き強力体制を取り、裏では仮面の男となって活動すればいい。 システムのクラッキングやリンカーコアの収集など、今の所全て上手くいっている・・・・いや、いっていた。 「(私もロッテと同じ考えを持っていたわ。あの騎士が話した『闇の書事件の予想』当事者じゃないかという位に当たっている。 だけどね、あのプログラム達がその事を『はいそうですか』って信じると思う?大方あのトンカチが『ふざけんじゃねぇ!!!』って叫びながら 襲い掛かってくるのがオチよ・・・・・ある意味では可哀想な連中・・・・いえ、哀れね)」 アリアは正直、守護騎士『ヴォルケンリッター』には多少だが同情の念を抱いていた。 主を救うために死に物狂いになりながらも、主を消して救う事が出来ない彼女達に。 慕う主を知らずに自分達の手で死に追いやっている彼女達に。 使い魔として生きている自分達も、主である父様には絶大の信頼と忠誠を誓っている。 だからこそ、あの連中の気持ちも分からなくはないし同情もしたくなるが、所詮それだけ。救ってやろうという気持ちは微塵も持ち合わせていない。 「(な~る、確かにアリアの言うとおりだ。それなら、特に計画の変更は無しって事で)クロノ!さっさと行くよ!」 突然大声と友に背中をたたかれた事に、クロノは遠慮なく顔を顰めるが、ロッテは笑顔でそれを受け流し、彼の肩を押す。 その光景を「やれやれ」と言いたそうな顔で見ていたアリアも、二人に続くように歩みを速めた。 今日はつくづく人に会う日だとナイトガンダムは思う。 「あっ、ガンダムさんだ~!!!」 転送装置室に到着し、いざ中に入ろうとした所で、聞き覚えのある幼い声に自然と歩みを止め、顔を向ける。 其処には声の主であるスバルと姉のギンガ、そして笑顔で軽く手を振る母親のクイントがいた。 スバルはナイトガンダムを見つけるや否や、真っ先に走り出し抱きつき、ギンガもまた抱きつきはしなかったが 嬉しそうに近づいてきた。 「あらあら、モテモテね。家の主人が見たら『娘はやらんぞ~!』って言いそうな光景だわ」 どう見ても目の前の光景を面白がっているクイントに、ナイトガンダムはスバルの頭を撫でながら乾いた笑いを漏らす。 「・・・・それで、クイント殿はどうして此処へ?確か地上本部という所での勤務なのですよね?」 昨日の昼食で、此処とは違う地上本部の局員の筈の彼女が、昨日に引き続き此処にいることに疑問に思ったため何となく尋ねてみる。 クロノから聞いた話だが、地上本部に勤めている人間が此処に来ることはあまりないらしい。何でも不仲など、色々と理由があるらしいが。 だからこそ、昨日に引き続き地上本部の局員であるクイントが本局にいる事に疑問を抱く。 まぁ、不仲といってもおそらく上に立つもの同士の事だろう、クイント個人が嫌いとは思えない。 「・・・スバル達と一緒という事は・・・・・見学でもさせているのですか?」 「あ・・・・・・・え、ええ、まぁそんなところ。もし駄目だなんて言うと、またスバルが一人でどこかに行っちゃうから。 それで、ガンダムさんは今帰り?」 曖昧に答えた後、その話題を無理矢理終らせるように話題を変えるクイントに少し不審感を抱きながらも、彼女の問いに答える。 だが、その答えに不満を抱く人物が目の前にいた。 「え~!?ガンダムさん、遊ぼうよ~!!」 スバルである。本当なら昨日の昼食の後、彼女はギンガと一緒にナイトガンダムを遊ぶつもりだった。 だが、あの時はナイトガンダムに急な仕事(クイント曰く)が入ったため、我慢して諦めた。だからこそ、今日こそ遊んで欲しい。 「ねぇ?お姉ちゃんも遊びたいよね?」 彼女も妹であるスバルと同じ気持ちであった。だが、迷惑ではないのか?仕事帰りで疲れているのではないかという彼女の 気遣いが、本当の気持ちを押しとどめていた。 「スバル、私も同じ気持ちだよ。だけど、ガンダムさんも疲れてるから、また今度にしよ?」 「そうよ、お姉ちゃんの言うとおり。ガンダムさんが好きなら、家に帰してあげましょ?」 大好きな母と姉に諭されたスバルは、頬を膨らませ不満を表しながらも、納得したのかナイトガンダムから離れる。 シュンとするスバルに申し訳ない気持ちになりながらも、正直ギンガとクイントの気遣いには感謝していた。 疲れに関してはゆっくり眠ったため残ってはいなかったが、あの月村家襲撃事件以来、全く顔を合わせていないイレインの事が気がかりだったからだ。 「今度日を改めて遊ぼう。それまでいい子にしてるんだよ」 笑顔でスバルとギンガの頭を優しく撫でた後、転送装置の中に入るナイトガンダム。 後は扉が閉まり、ハラオウン家が借りているマンション内に設置されている転送ポートに転送されるだけ。誰もがそう思っていた。 閉まる扉に滑り込むようにスバルとギンガが入ってこなければ。 スバルはあまり我侭を言う少女ではない。それに他人の気持ちを理解できる子でもある。 だからこそ、母と姉の言う事もちゃんと理解し、ナイトガンダムと遊ぶ事を諦めた・・・・かに見えた。 「(でも・・・・今度は何時会えるのかな・・・・・・)」 よく考えてみたら、ナイトガンダムと会えたのは全て偶然だった。決して連絡を取ったりしたわけではない。 また偶然が続くのか?そう考えるといてもたってもいられなくなる。 「(ねぇ、お姉ちゃんもそう思わない?)」 「(・・・・・・・うん、スバルの言う通りかな・・・・)」 母親であるクイントには内緒にしているが、スバルとギンガには心の中で互いに話す事ができた。 念話と言われる魔法に似ているが、自分達はまだ魔法は一切使えない。おそらく自分達の体が特別だからだろう。 互いに近くにいないと伝えられないという欠点はあるが、この能力は自分とスバルを繋ぐ絆のような物だと感じていた。 「(だからさ・・・お姉ちゃん)」 スバルが考えたアイデア(スバルは『作戦』と言っていた)にギンガは危ないから止めようと言おうとしたが、結局言う事ができなかった。 理由は簡単、ギンガもまた、スバルと同じ気持ちだったからだ。 「(・・・・・わかった。私もガンダムさんと遊びたいから・・・・・・お母さんには一緒に怒られよ)」 こうして、二人の作戦は見事に成功し、一人の騎士と二人の幼い姉妹は、海鳴市へと転送された。 海鳴市 「・・・・・・二人とも~・・・・・・大胆な事をしてくれたわね~・・・・・」 端末越しにニコニコと笑顔で二人の娘に話しかけるクイント、だが、その笑顔を向けられているスバルとギンガは怯えきっており 彼女達の後ろで様子を見ていたナイトガンダムもまた、圧倒されたかのように一歩後ろへと下がった。 「(・・・・なんとう覇気・・・・・・これが母親というものか・・・・・・)」 顔は笑顔そのものだが、端末越しからでも分かるクイントのオーラにナイトガンダムは感心すると同時に 情けない事にスバル達同様恐怖を感じていた。だが、このままでは二人は怒られっぱなしになってしまうのではないかと思ったため 意を決して、二人の変わりに対応する事にした。 「クイント殿、二人も悪気が会ったわけではありません。もうそれくらいでよろしいでしょう?」 「・・・・まぁ、ガンダムさんがそういうのなら・・・・・・でもごめんなさいね、迷惑かけちゃって。 貴方も疲れてるでしょうに・・・・・それに貴方がお世話になっている家にも迷惑が掛かるんじゃ」 「その様な事はありません。とても親切な方々ですよ。お二人は私にお任せください」 歳が近いすずかとなら良い友達になれるだろうと思う。 お世話になっている月村家の人達に嘘はつきたくはないが、管理局の存在を隠す以上、 スバル達に関してはクロノの従妹と言う事でどうにかごまかすしかない。 「ありがとう。私は手続きを終えてからそちらへ迎えに行くわ。君達がいる地球は管理局の管理外世界だがら 許可やら手続きを取らないと行く事はできないのよ。少し掛かるかもしれない」 「それでしたらリンディ殿に相談をされてみてはいかがでしょうか?今、アースラスタッフは此処に拠点を置いています。 話しの分かる方ですし、迎えに行く位でしたら簡単に許可をいただけると思いますよ。おそらくまだ本局にいる筈ですから、 こちらで連絡を入れておきますよ」 「そう?それじゃあ御願いするわね。最後にスバルにギンガ、もう怒らないけど、こんな無茶をしちゃ絶対駄目だからね」 先ほどとは違い柔らかな笑みで諭すよう語りかけるクイントに、スバルとギンガはゆっくりと頷いた後、声を揃えて謝った。 1時間後 :月村家正門前 ナイトガンダムのおかげで苦労せずにリンディと会う事ができたクイントは、彼女のおかげで 驚くほど時間を掛けずに地球へ来る事ができた。 「だけど・・・こうもあっさりと・・・・いいのかしら?」 ナイトガンダムの態度から、リンディ・ハラオウンという人物は自分と同じ局員だとばかり思っていた。 実際そうだったのだが、提督とう地位はクイントに必要以上の緊張感を与える事となった。 提督といえば地位は勿論の事、次元航行艦・・・・しかも艦隊クラスの指揮権まで持つ事が出来るほどの地位である。 自分が所属している隊の隊長よりはるかに偉い。緊張するなという方が無理である。だが 「ああ、クイント・ナカジマさんね?ガンダム君から話を聞いてるわ」 緊張していた自分が馬鹿だったかのように、リンディ・ハラオウンは気さくな人物だった。 自分の地位を鼻に掛けないで、まるで友人と話すかのように話しかけるリンディに、 クイントは呆気に取られながらも緊張していた自分を恥じた。 そしてあっという間に許可をとる事ができ(と言っても「ええ、どうぞ、家の転送ポートを使って」というあっさりとした許可だったが) 此処へくる事ができた。ちなみに、直に許可が取れたにも拘らず此処まで来るのに一時間を要したのは リンディにお茶の誘いを受けたからであったのだが・・・・・今ではその事を猛烈に後悔している。 子を持つ親同士、話しはとても弾んだ・・・だが、出されたお茶は宜しくなかった。 「あの味覚・・・・・息子さん、糖尿病にならなかったのかしら・・・・・・さて、この月村さんの家にいるはずだけど」 良くない思い出だけをさっさと忘れたクイントは、改めて表札を確認した後、インターホンのボタンを押した。 「手加減無用!!覚悟ぉ!!!」 アリサの声と友に、力の限り投げられたバレーボールが容赦なくスバルを襲う。だが、 「えい」 可愛い声と友に片腕でアリサの必殺魔球を軽々と受け止め、 「やぁ」 同じく可愛い声で投げ返した。 アリサに迫り来るバレーボール、可愛い声とは裏腹に、どう見ても子供が投げたとは思えないスピードで迫り来る。 だが、そのボールがアリサに直撃する前に、すずかが前へと出て片手で受け止めた。 すずかの掌に直撃した瞬間、激しい音が響き渡り彼女の髪が棚引く。傍目から見てもそれなりの衝撃がすずかを襲ったかに見えたが、 彼女は顔を顰めるどころか相手を称えるかのように微笑む。そして、ボールの勢いが殺されないうちに、掴んだ腕を1回転、 「それっ!」 遠心力を加えて投げ返した。 すくい上げるように投げられたボールは回転しながら突き進み、スバルの隣にいるギンガに襲い掛かる。 大の大人でも当たれば悶絶間違いなしの剛速球。だが、ギンガは逃げる事無く両手を差し出しボールをキャッチ、 体を踏ん張ってはいたが、反動で体が無理矢理後ろに引きずられる。だが、受け止める事には成功した。 「・・・やるね、ギンガちゃんにスバルちゃん」 「すずかさん達も・・・・・すごいです」 「まぁ、アタシとすずかのペアに喰らいついていく実力は褒めてあげるわ!!だけど、これまでよ!!」 「アタシとお姉ちゃんも負けないぞ~!!!」 一方、外野では 「ねぇ・・・ガンダム。これって遊びよね?」 既にボールを当てられたイレインが木にもたれ掛りながら、同じくボールを当てられたガンダムに尋ねる。 時より聞こえるアリサの叫び声、何かが土にめり込む音、ボールが強く当たる音。 それらを乾いた笑いと友に受け流すナイトガンダムは 「・・・・・・おそらく・・・・・」 かなり間を空けた後、短く答えた。 「・・・・思うんだけどさ、アリサ、このままじゃ不味いんじゃない?この中じゃまともな人間、彼女だけよ?」 彼女なりにアリサを気遣うが、その言葉にナイトガンダムは引っかかりを感じた。 確かにすずかは夜の一族の血を引いているため、常人より体力はある。だが、スバルとギンガは普通の人間の筈。 見た所力はあるが、魔法はまったく使っていない。仮に使ったとしてもイレインが察知できるとは思えないが。 「イレイン、その言い方は感心しない。確かに力はあるが、それではまるで人間ではない様な言い方だ」 その発言にイレインは心底不思議な顔をする。そして腕を組んで数秒考えた後、確認するかのようにナイトガンダムに尋ねた。 「・・・・まぁ、すずかの事は謝るわ、だけどあのスバルとギンガって子、貴方本当に知らないの?」 「どういう事です?」 ナイトガンダムの表情から、本当に知らなかった事にイレインは意外そうな顔をする。 数秒沈黙した後、別に隠す必要もないと結論付けたイレインは、顔をスバル達の方へ向け呟くように答えを明かした。 「あの二人はまともな人間じゃない。私やノエル達と同じよ」 「いや~、最近の子供はパワフルねぇ~」 日当たりの良い庭に置かれたテーブルと椅子。この家の主である月村忍はその椅子の一つに腰掛け、 右手に紅茶が入ったカップを持ちながらすずか達の様子をうかがっていた。 彼女に向き合うように座っていたクイントもまた、忍の言葉に釣られたかのようにスバル達の様子をうかがう。 歳が近い子と楽しく遊ぶスバル達の様子に、自然と顔が綻ぶ。 正直、この笑顔を見られただけで彼女の心は温かい気持ちになった。 スバル達はその存在から、未だに学校などに通わせるような事はしなかった。そのため、同年代の友達などは未だにいない。 だからこそ、歳が近い子達と遊べるのはとても良い経験だと思う。 「ありがとうございます。スバル達もとても楽しそうで・・・それにこんなに美味しいお茶もいただいて」 「気にしない気にしない、ガンダム君の知り合いなら、私達の知り合いでもあるから気にしない。だけどあの子達、スゴイ運動神経ね~。何か習い事でもしているの?」 以前顔を向けたまま尋ねる忍に、クイントは言葉を詰まらせるが、特に何もやっていないと答えた。 「・・・・・ふ~ん・・・・・そうなんだ・・・・・」 意味ありげに頷いた後、忍はゆっくりと顔をクイントの方へと戻し、紅茶のカップを置く。そして 「当然よね?あの子達、体に機械が埋め込まれている、ただの子供じゃないんだから?」 クイントはその言葉に反応するかのように即座に立ち上がろうとする。だが、 「クイント様・・・お座りになっていてください」 先ほどまで自分達の様にスバル達の様子をうかがっていた筈のメイド『ノエル』が、クイントに気配を感じさせる事なく後ろに立っていた。 そして、彼女の両肩に手を置き、無理矢理椅子に座らせるかのように押し付ける。 「(何?この人!?なんて力なの!)」 違法とは分かってはいるが、魔力で体を強化し、無理矢理抜け出そうとする。 だが、それでももがくのが限界、脱出する事は出来なかった。 脱出が不可能と痛いほど理解したクイントは、せめてもの抵抗とばかりに忍を睨み付ける。 「・・・・貴方・・・・・いったい何者・・・・・」 射殺さんばかりに睨み付けるクイントの視線を忍は微笑みながら受け流す。 そして顎に手を乗せ、正面からクイントを見据えながら、ゆっくりと話しだした。 「何者っていってもねぇ・・・・・私はここの家の主、月村忍。決して火星人でも木星人でもないわ。 だけど驚いたわ・・・・あんな小さな子がいるなんて・・・・・世界は広いわね・・・・」 クイントは忍の言葉を信じてはいなかった。戦闘機人の技術は公式に公開されてはいない。 それこそ一般人、しかも管理外世界の住人が知る筈がない。 なのに目の前の女性はスバル達を機械が埋め込まれている人間『戦闘機人』と見抜いた。 彼女の態度から、カマを欠けたとは思えない。絶対の自信からでた結論だろう。 検査もしないで見抜けるという事は『戦闘機人』関係に詳しい人物、それこそ開発に関わった人物でもない限り不可能と言っても良い。 「・・・・・・で、貴方は何が望み・・・・・・」 局員としての性格からだろう。クイントは脱出を諦め、忍の話しに付き合う事にした。 『戦闘機人』に詳しい以上、彼女を無視するわけにはいかない。だが、後ろのメイドは無論、下手をしたらナイトガンダムとも戦わないといけなくなる。 正直勝ち目は無い。おそらく自分に出来ることは、救難信号を送り、管理局にこの場所を知らせる事くらいだろう。 おそらく向こうも自分が何かしらの行動を起こすと思っている筈。だが他に方法は無い。 「・・・望みねぇ~・・・」 目を瞑り、考え込むように黙りこむ。時間にして10秒程度、だがクイントには数時間にも感じられた10秒。 「まぁ、考えるまでも無いんだけどね」 以前自分を睨みつけるクイントの目線を正面から受け止めた忍は、ゆっくりと自分の望みを呟いた。 「スバルとギンガ・・・あの子達を私にちょうだい」 前へ 目次へ 次へ
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極限流カラテの使い手・リョウ・サカザキは 消息を絶った妹・ユリ・サカザキを探すため、海鳴市に旅立った! 海鳴市に辿り着いた直後に不思議な戦いに巻き込まれるリョウ! 空を飛ぶ少年、少女 闇の書、守護騎士 そして…守護騎士に助力し、魔法を用いずに管理局を圧倒する天狗面 「そんな…バルディッシュを素手で砕くなんて…」 「覇王翔吼拳を会得せ「って、何やってんだ親父!?」 「ワシは、タクマ・サカザキなどではない!」 巻き込まれる一般人 「や ら な い か ?」 「極限流奥義ィ!」 終結、そして闇の書から分離された防衛プログラムの最後 リョウ&ユリ「「覇王翔吼拳!」」 天狗面「せいや!せいや!せいや!せいや!せいや!…(以下略」 龍虎の拳A’s! 最強の座を手に入れるのは誰だ! 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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突然室内に警報が響いた。 暗い部屋に赤い光が不規則に点り、警報の音は一級警戒体制を知らせる。 モニターには赤くアラートと映し出され、すぐにはやてから通信が入った。 内容は教会の追っていたレリックらしい物を積んだ山岳リニアレールが、ガジェットに襲われたと言うことだ。 しかも悪いことに、リニアレールのコントロールがガジェットにやられて制御不能、暴走状態に陥っている。 確認できているだけでも車内に約30体。 さらには新型の出現の可能性もあるらしい。 教会本部からの緊急出動要請に、はやてはすぐさま指令をくだした。 「機動六課フォワード部隊、出動!!!!」 それから数分後、 暗く、窓から光がさす狭いとも言えない室内……ヘリの中で、フォワード4人になのはにリィン、そしてアムロが座る。 なのはとリィンは敵戦力について話し合い、フォワード4人は、初の実戦ということだろうか、戸惑いや不安を抱いているようだ。 そしてアムロは新しいデバイス、サイコフレームを持って、 「……俺の…デバイスか………」 そう呟いていた。 《よろしくお願いします、マスター。》 サイコフレームからは、まるで女性のような声で挨拶される。 しかしアムロも「ああ、頼む。」と返して、外を見た。 「空か………」 静かにに呟く。 宇宙(そら)をかけた男は、懐かしむかのように青い空を眺め、6人を見る。 かつての悲劇を繰り返さないためにも、皆を守って見せる……… そう心に誓って……… 第05話 ファースト・コンタクト 「うわっ!」 突然ヴァイスが奇声をあげた。 「どうしたのヴァイス君?」 山の影からリニアレールの確認できる位置に飛行していただけだったはず。 ヴァイスはコクピットに入ってきたなのはに前を指差した。 彼女が先を見ると、 「ガジェット!?」 新型の飛行タイプ、2型が十数機編隊を組んで飛んでいた。 さらに、 『こちら本部、周囲にも反応を捕らえました!』 モニターに地図が出され、現在地とガジェットの配置を映し出す。 「何て数………」 正面に後ろ2方向。 囲まれた状況だ。 だが、 「アムロさん、このヘリと彼女達をお願い。」 「了解した。」 そういうと今度は、 「ヴァイス君。」 「ウィッス、なのはさん!」 まさに以心伝心、アムロもヴァイスもなのはが言おうとしていることはすぐにわかった。 《Hatch Open》 このヘリのデバイス、ストームレイダーが後部ハッチを開ける。 機械音と共に外の風景と風が一気に入ってくる。 「それじゃあ皆、先に行っちゃうけど、ズバッとやっつけちゃおう。」 ハッチに立つなのはは、そういった。 フォワード4人は緊張しながらも返事を返すも、キャロだけは何か様子が違った。 なのはは元気付けようと近づこうとした。 その時だった。 ドォン! 軽い爆音と共にヘリが軽く揺れる。 立っていたなのははバランスを崩してその場に座る。 ガジェットの攻撃だ。 ここから微かに見える前方には、ガジェットが後数百メートルにまで近づいていた。 「チィ……ガジェットか………」アムロは急いでハッチに向かい、 「なのは、後は頼んだぞ。」 といってハッチに立った。 「お願い、アムロさん!」 そうしてアムロは、 「頼むぞ、サイコフレーム。」 《Yes Master》 サイコフレームを片手に、 「ロンド・ベル01、アムロ、行きます!!」 空に飛び立った。 《Stand by Lady Set Up》 そうサイコフレームがいうと同時に緑の光が放たれ、その光はバリアとなってアムロの周りに展開した。 サイコフレームはアムロの手から離れると緑の光を纏いながら上に舞い上がり、T字の上の部分に様々なパーツが合体していく。 黒、白と合体し、完成するとそれはライフルのような形となり、T字の下の部分が軽く後に傾く。 そう、銃で言うところのグリップとなった。 《1st Forme. Berrier Jeaket and Shield》 さらにそういうと、アムロの青い制服に緑の光が被さると、身体に黒い鎧、白いズボンに一瞬で変わった。 さらに上半身と腰になのは達が着るようなバリアジャケットが前を開けた状態で現れ、肩と左右腰、腕にプロテクターが現れる。 肩は白くかくばっており、左肩にはアムロの赤いエンブレム。 腰はシグナムなどが付けている騎士甲冑のような形の白い装甲。 腕は篭手の位置に騎士甲冑のような物を上だけ付けている。 右腕は白く鮮やかに3枚の装甲が装着されたが、左腕は少し違い、上の2枚が黒く、残りの1枚は黄色くなって、さらにその篭手に棒状の物がはまるように装着された。 そして足に騎士甲冑には見えない不思議な靴が装着される。 ももの部分と靴の下部は黒く、他は白く塗装される。 最後に右手に質量を持った白い盾を持つ。 その盾にも赤いアムロのエンブレムが入る。 そしてライフルになったサイコフレームを手に取る。 ここに、新たなデバイスを持った白き魔導士が誕生した。 装備が終わり、緑色のシールドが砕ける。 その中心にある魔法陣に彼は立っていた。 「…これは………」 装着されたバリアジャケットとも騎士甲冑ともとれない服と、ライフルになったサイコフレームを見る。 服、色、形、武器、盾、 多少違えど見覚えのあるその姿。 アムロにとっては見間違えるはずもない。 「…ν……ガンダム………?」 そう、 かつてアムロが設計し、アクシズでシャアとの死闘を繰り広げた愛機が、姿を変えて自分を守る服となっているのだ。 《これがマスターの新しい防護服、1stフォルムです。》 「1st?」 その言葉を聞き返すと、 《これは「1st」と呼ばれるフォルムで、さらに「2nd」、「3rd」、「Final」まであります。》 と語った。 恐らく、この上位のバリアジャケットが存在するのだろうと仮説を立てた。 その時、 《このまま私のスペック説明等を続けようと思いましたが………》サイコフレームはそういい、 《敵が接近中の為、戦闘を行いながらやろうと思います、許可を。》 といった。 前を見るとそこには接近してきているガジェットの姿。 アムロはそれを見て決意する。 「許可する。行くぞ!」 《Yes Master. Rising Wing》 サイコフレームの飛行魔法でアムロはガジェットの部隊に突撃した。 しかし、その速度はかつてのアムロを凌ぐスピードを出す。 ライジングウイング。 サイコフレームの飛行魔法、高速の光の翼である。 だがその間にも、サイコフレームは自分のスペックを淡々と語っていく。 《私は、サイコフレームと呼ばれる材質と魔力との互換性を前提に開発されました。 そのため、私は自分の性質を利用して魔力の増幅、強化を行う特殊なデバイスとして生まれました。》 「ということは、魔力リミッターがかかっていても魔力ランクが上がるのか?」 気になりアムロは聞くと、 《そうです。ちなみに現在のマスターは、推定1ランクアップのAAランクです。》 と言われた。 つまりはリミッターを外せばかなりの魔力になる。 かなりの戦闘能力を手に入れた。 が、 《しかしながら、従来のデバイスのように攻撃が出来なくなりました。》 突然の一言。 だがさらに、 《そのために形状変化機能を搭載しています。》 と付け加えた。 《この能力はマスターの記憶と魔力、想像力によって完成します。無論、私自身のメモリーからの再現も可能です。》 そこまで聞いて、アムロは考えついた。 「つまりはデバイスで行っていた攻撃が出来なくなったかわりに、ある一つの攻撃に特化した武器になれるのか?」 《そうです。》 「だが、可能なのか?」 《魔力の増幅量が多ければ理論上なら可能です。》 そういわれた。 結論だけをいうと、このサイコフレームは魔力を増幅するかわりに、デバイスによる攻撃が出来なくなった。 だが、サイコフレーム本体が変形し、特化した魔導武器になれるということである。 《……正面、敵影関知。》 気がつけば敵との距離は100メートルを切っていた。 《次は武装のスペック説明を行います。》 そういって《まずはライフルです。実際に使用してみてください。》といわれた。 だが、トリガーと思えるものは無い。 そこに、 《魔力を微量でもいいので供給して、射撃のイメージをしてください。》 そういわれたため、言われた通りにアムロは、身体から微量の魔力を供給し、敵を狙いながらライフルを構えてイメージをする。 すると、 バシュン!! 一筋の桃色の光線。 かつてのビームライフルのように敵をとらえ、そして、 ドォォォン!!!! 撃墜した。 ガジェット2型を一撃で撃墜する威力。 魔力はほんの僅かしか供給していないのにこの威力。 頼もしいかぎりだった。 だがその爆煙からさらに4機。 サイコフレームは《続けて攻撃を、》といった。 無論、アムロも断る理由も無く「ああ。」と答えた。 まわりには4機の2型。 その後ろにも5機の編隊が2組続く。 だが、新しいデバイスを手に入れた彼には無駄だった。 右から、左からと襲われるもライフルを撃ち、あっという間に2機を撃墜、一気に上昇する。 《このライフルモードは魔力射撃武器です。誘導弾とは異なり誘導機能はありません。》 戦闘しながらも黙々と説明を続けるサイコフレーム。 《代わりに出力変更機能が搭載されており、限界はありますが強力な砲撃が可能です。》 そういわれて、アムロはその場でライフルを下に向け、チャージした。 そして、 「落ちろ!」 《Buster Shoot》 その言葉と共にライフルが火を噴いた。 先ほどよりも太い光が敵を飲み込み、一気に後の編隊をも巻き込み数機が落ちた。 だが、残りのガジェットが攻撃を仕掛けてきた。 そして、 ドガァァァァン!!!! 「アムロさん!!」 ガジェットの攻撃を受けたのだろう。 その攻撃が彼に当たったと同時に、スバルはアムロの名を叫んだ。 その爆発はものすごく、スバル達のいるヘリの中からも見てとれた。 「そんな………」 絶望に似た表情でティアナは呟く。 だが、その爆煙からアムロが飛び出した。 「アムロさん!」 だが、何かがおかしい。 2人……3人……… なぜかアムロが3人、残りのガジェットに飛んでいく。 「え、なんで?」 それを見てティアナが気付く。 「ダミーシルエット………」 そう、彼女の得意とする幻影魔術である。 ガジェットの砲火がアムロのシルエットを貫く。 当然シルエットの為貫通したと同時に消える。 そして全てのシルエットが消え去った。 この魔法は通称フォーミュラシルエットと呼ばれるアムロのダミーシルエットだ。 3つの中には本物はいなかったのだ。 途端に後方から攻撃を受けるガジェット。 いつの間にか背後にまわっていたのだ。 「通常魔法は使えるのか………」 《通常、デバイスを通さない魔法は使えます。》 そういって残りをあっという間に撃墜する。 そして……… 「スターズ3、スバル・ナカジマ!」 「スターズ4、ティアナ・ランスター!」 「ライトニング3、エリオ・モンディアル!」 「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエとフリード・リヒ!」 「「行きます!!!!」」 フォワード陣の初めての実戦が始まる……… 残りの空戦部隊を撃破したアムロは、先に降下したフォワード4人の援護にまわっていた。 未だに速度を落とす気配の無い列車上部にいたリィン。 その近くに着陸する。 「状況は?」 「スターズF、ライトニングF両部隊は既に取り付いて交戦中です!」 そういわれて見回すと、前部車両上部からスバルが飛び出した。 その瞬間を見たアムロは、 「あれなら大丈夫か………」 と聞く。 するとリィンは「はいです!」と答えた。 「なら、ライトニングFの援護に向かう。」 そう告げて後部車両に向かった。 スピードの出てるリニアレールの車両上。 ライトニングFと合流するために急いでいた。 3両目、4両目と通過していき、6両目、中心の車両を通過した。 その時だった。 バゴォォン!!!! さらに先の車両の天井の一部が吹き飛んだ。 「何っ!?」 その途端に、その攻撃でできた穴から2人の人影。 《ライトニングFを確認。敵と交戦中の模様。》 エリオとキャロ、さらには敵の一部と思われる黒い物。 コードでもワイヤーでも無い物体。 まるでグフのヒートロットを横に広げたような形をしている。 「エリオ、キャロ、無事か?」 「アムロさん、今の所は………」 そういってエリオの横に飛ぶ。 穴から見えたのは丸い球体のガジェット。 今まで見たことの無い形だ。 《八神部隊長の言っていた、新型だと思われます。注意を。》 そういわれて武器を構える。 「2人ともいいな?」 「はい!」 「大丈夫です!」 いい返事が返ってきた。 その時だった。 グォォン! 先ほどのガジェットのロットがこちらを狙ってきた。 同時に俺達は跳び上がる。 キャロは後方に跳び、 「フリード、ブラストフレア!!」 強化したフレアを放つ。 が、攻撃も虚しくそのロットに軽く弾かれた。 弾かれたフレアはそのまま右にあった崖に当たり、爆発を起こした。 だがその隙に、 「おりゃあぁぁぁ!!」 エリオとストラーダがその本体を狙う。 高々と空を舞うエリオ。 雷を纏ったストラーダがガジェットの本体を狙う。 しかし、 「ていっ!!」 掛け声と共に降り下ろされたストラーダは、ガジェットの丸い表面に激突した。 だが、一行に傷もつかない。 さらには、周囲にフィールドを張る。 「!?」 突然ストラーダの尖端から光が消え、キャロの足元にあった魔法陣も跡形も無くなった。 「チィ!」 上空にいた俺はすぐさまライフルを構え、攻撃した。 だが、3発撃った魔力弾はあっという間に消え去った。 「AMF!?こんな広範囲に!」 そして、 ドカッ! 「エリオ!」 途端に攻守が逆転した。 エリオはストラーダを横に持ち、敵のロットを防ぐので精一杯だ。 魔力はあっても、体力は子供である。 力勝負では勝ち目は無い。 そこに、 「このぉ!」 《Sabel Mode》 サイコフレームを変形させて飛び込んだ。 イメージは剣。 サイコフレームは、すぐさま形状を変えた。 上についていたライフル本体が緑の光になって消えると、同時にT字が棒状に変わり先端に長く、反対側に短いピンクの魔力刃が現れる。 かつてのνガンダムのビームサーベルになったのだ。 増幅した魔力のおかげで、サーベルは消えないでガジェットまでこれた。 そして剣を切り付けた。 が、 ギィン!! 「!?」 刃はガジェットに届くことはなく、かわりにオレンジ色に鈍く光る刃が剣を受け止めた。 それは斧を構えた緑の人影。 単眼を光らせ、左右非対象の肩をし、身体の至る所にある動力パイプの数々。 サイズは違えど、忘れるはずが無い。 かつて初めて戦い、いくつも落としてきた相手。 そう、 「ザク…だと………!?」 《メモリー内データと照合、全データ一致しました。》 サイコフレームはすぐさま答えを出した。 だがアムロは、未だに信じられない表情で刃を交えていた。 そこに、 《後ろです。》 その警告を受けてすぐさま横に転がった。 そして、さっきまでいた場所を見ると、 「ザクがもう1機!?」 《間違いありません。両機ともMS-06ザクです。》 アムロは信じるしかなかった。 事実、目の前にいるのは確かにザクだ。 その2機は、アムロを見据えると背中から武器を取り出した。 丸い円盤状のドラムマガジンを上に取り付けたマシンガン、ザクマシンガンだ。 「!?」 咄嗟に盾を構えるも、2機はお構いなしに撃ちだした。 「くっ………」 執拗に何十発も撃ち込まれ、身動きがとれない。 その時、 「ぐあっ!」 一際大きい音と共に叫び声が響いた。 そこにはガジェットのロットに捕まったエリオの姿がある。 そしてガジェットは、そのまま開いた穴からエリオを投げ捨てた。 投げられたエリオは、そのまま放物線を描きながら谷底へ落ちていく。 そして、 「エリオっ!」 「エリオ君ーーーっ!!!!」 アムロは敵の弾丸を防ぎながらも外に跳び、キャロは後を追うかのように飛び込んだ。 「キャロ!?」 アムロはその事態を見て、助けるために2人に向かった。 落下する2人、キャロがエリオの手をとった。 その時、2人をピンクの光が包んだ。 そして、 「龍魂召喚!!!!!!」 その叫び声と共に、白き翼が現れた。 大きく、強くはばたく。 それは、真の姿をした白銀の龍、フリードであった。 アムロはフリードの背中に乗っている2人を確認し、すぐに駆け寄った。 「大丈夫か!?」 「はい、キャロのお陰で何とか………」 エリオはさっきの攻撃がきいてるようだが、大丈夫だと立ち上がる。 そこに、 ダダダダ!!!! 「うわっ!?」 近くを弾丸が掠めた。 「あの人型ガジェット………」 例のザクが2機、こちらに向かって来てるようだ。 それを見てアムロは、 「……エリオ、俺が飛び込んであの2機を落として、中のガジェットを打ち上げる。」 とエリオに告げる。 エリオはいきなりの発言に戸惑うも、その話を聞く。 「打ち上げた瞬間を狙って撃破しろ。いいか?」 「はい!」 アムロは作戦を立てていたのだ。 そして、 「いくぞ!」 「はい!」 「わかりました!」 アムロは敵に突っ込んだ。 正面にザクが2機、上方から降下して来ている。 手前のはヒートホークを構え、その後のはマシンガンを構えている。 これほど好都合な状況はない。 俺はサーベルと盾を構えて突撃した。 まずは手前のザクからだ。 ウイングで急接近しサーベルをザクの左脇腹目掛けて叩き込む。 だが相手は機械、反応速度は相当のものだ。 瞬間にヒートホークでサーベルを防いだ。 だが武器を持っている手は右腕、右脇腹ががら空きだ。 「このぉ!」 その空いた隙間に、かつてのコクピット、正面腹部に盾の先端を突き立てた。 めり込む盾、その瞬間に、 《Missile Shoot》 盾から4つの赤い弾丸が貫いた。 その後、盾に突き刺さったザクを振り落とす。 落下する機体、そして爆発。 爆光に照らされ、もう1機は行動できずに射撃に貫かれた。 一撃で、確実に。 わずか10秒程の出来事だ。 その攻撃をしたのは全て盾に内蔵された武装、νガンダムの盾についていたミサイル、ビーム砲まで再現されている。 ビーム砲は出力は低いが汎用性の高い低出力魔導砲に、ミサイルは質量のある物理貫通誘導弾に変更されているのだ。 俺は撃破したザクの爆発を尻目に車両内部に再度侵入した。 そこには以前と変わり無いガジェット3型の姿。 睨み合う俺とガジェット。 そして、 グォォン!! 先手を打ったのはガジェットだ。 2本の黒いロットと無数の赤いワイヤーが俺目掛けて延びてきたのだ。 だが、サーベルを上から縦に1撃、まずロットを切り落とす。 それと同時に床を蹴り急接近。 そこに無数のワイヤーがこちらを捉えようと向かってくる。 だがこれも下にさがっていたサーベルを上に切り上げ、一閃。 ガジェットは無防備となった。 その隙に切り上げたサーベルをガジェットの表面に叩きつける。 だが手応えもなく、刃は触れる直前で消えてしまった。 AMFである。 だが、 「うおぉぉ!」 左腕の盾を変形させる。 腕から拳までを守るかのように変形した篭手、ナックルモードだ。 確かにAMFは強力でサーベルでも倒せなかった。 だが、物理攻撃を一番脆いカメラ部分に叩きつければ勝機はある。 勢いのついた左ストレート、それをガジェットのカメラ目掛けて叩きつけた。 一撃、カメラにヒビが入る。 さらに連続で二、三撃と殴り続け、 バキャッ!! カメラ部分が砕け散った。 オレンジ色の破片が飛び散り、スパークを起こす。 それを確認して右足を蹴り上げた。 その蹴りはガジェットの下部に当たり、上に空いていた穴から飛び出した。 「我がこうは聖銀の剣、若き槍騎士の刃に、祝福の光よ………」 フリードの上でキャロは強化魔法の永唱を続けていた。 手の甲にあるデバイス、ケリュケイオンは、永唱を続けるごとに光を増していく。 「たけきその身に力を与える祈りの光よ………」 《ブーストアップ、ストライクパワー》 完全に永唱を終えたキャロ、 「いくよ、エリオ君!」 攻撃準備を終えたエリオ、 「了解、キャロ!」 2人の息は、ピッタリとあっていた。 そして彼等の目の前に、ガジェットが打ち上げられた。 「今だ!」 そういってストラーダを構え、 「たぁぁぁぁぁっ!!!!」 飛び込んだ。 それと同時に、キャロがストラーダに強化魔法の援護を行った。 「ツインブースト!スラッシュアンドストライク!!」 ケリュケイオンから出た2筋のピンクの光は、真っすぐにストラーダの刃に当たり、 《受諾》 ピンクの魔力刃が現れる。 その大きさは、ストラーダを合わせてエリオの約3倍以上の長さとなった。 「一閃必中!」 バシュ、バシュ、と2回リロードされ、ブースターに火が点く。 エリオの足元には黄色い三角のベルカ式魔法陣、そこから稲妻を発しながら一気に加速をつけ、 ズドン!!!! 割れた真ん中のカメラから、真っすぐに中心を貫いた。 反対側には刃が少しだけ出ている。 そして、 「でぇぇぇりゃぁぁぁぁっ!!!!」 叫び声と共に、ガジェットは上に向かって切られ、 ドゴォォォォン!!!! 完全に爆砕した。 その爆発に飛ばされるエリオ。 満面の笑みだが、現在位置は車両上空。 無論、飛行魔法は使えない。 「えっ………」 残念ながら落ちるしか選択肢は無い。 「うわぁぁぁぁぁ!?!!」 落ちる、真っ逆さまに崖の奥底に向かって。 だが、白銀の龍とそのマスターが彼の落下位置に待っていることは言うまでもない……… 戦いが終わり、リニアレールも停止している。 車両の上にはその戦いを征した魔導師、機動六課の面々が立っていた。 そこには、他の航空隊を全滅させた2人の姿もある。 その中の1人、オレンジ色の髪の少女は銃を下におろしながら青い髪をしたハチマキの少女と話している。 そのハチマキの少女の手には重厚な小さな箱。 赤い宝石、レリックの入った箱である。 だがその戦いを崖の上から見ていた人影は、それより赤い髪をした少年と金髪の女性を見据える。 独特な形をした頭部に3つの目。 偵察用人型ガジェット、MS-06E-3、ザク・フリッパー。 目のひとつひとつが思い思いにズームをする。 そして、もう一つの目が捕らえたのは、茶色い髪をした男の持っているデバイス。 T字を基本形状とした最新型デバイス、サイコフレームを見据えた。 薄暗い室内。 至る所にある機械の数々。 そして正面にある大きなモニター。 まさに研究所の一室と言える場所に、その男はいた。 紫の髪。 いかにも科学者と思える白衣。 と、そこに、 『ドクター、No.9のレリックが護送体制に入りました。』 新たなモニターが現れ、一人の女性がそう告げる。 だが、ドクターと呼ばれた男は、ザク・フリッパーの写している画像を見ながら、「ふぅん………」と小さな返事のようなものを返した。 その女性はさらに続け、 『追撃戦力を送りますか?』 と聞く。 だが、 「やめておこう、レリックは惜しいが彼女達のデータだけで十分だ。」 そういって先程の戦闘映像を見る。 「それにしても、この案件は実に素晴らしい………」 うっとりするような声で戦闘を見る。 ガジェットの働きを見るのではなく、魔導師達に目を奪われているようだ。 「興味深い素材をもっている上に………」 モニターに写される4人の魔導師、なのは、キャロ、スバル、アムロの4人。 さらにモニターを変えて写したものはフェイト、そしてエリオの2人。 「生きて動いているプロジェクトFの残滓を、手に入れるチャンスを………」 歪んだように笑う、 「そして………」 そういってモニターを変えると、そこにはサイコフレームが写る。 「こんな物があるとは………」 そういって振り向く。 そこには金髪の男。 「素晴らしいとは思わないかい?」 だがその男は、 「私はそんな物に興味は無い………」 とあっさり返した。 「そう言うな、No.0。」 ドクターはそう呼ぶと男は、「その名で呼ぶな。」といい返す。 その姿を見て笑いながら、 「ならこう呼べばいいのだろう?」 といい、その名を呼んだ。 「……シャア・アズナブル………」 前へ 目次へ 次へ